【特集】ネイマールは"レジェンド"になれるか W杯2026、ブラジルの命運を握る男
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サッカー ワールドカップ2026が開幕しました。
優勝候補の一角、ブラジル代表。
ブラジルはW杯で史上最多の5回優勝を誇る、サッカー王国です。
しかし——実は2002年を最後に、20年以上も世界の頂点から遠ざかっています。
「今年こそ優勝を」。母国の期待は、毎大会どの国よりも重くのしかかります。
今大会は、新たに就任したアンチェロッティ監督のもとでの初挑戦。
実はアンチェロッティ監督は、ブラジル代表史上初の外国人正式監督であり、
W杯でブラジルを指揮する初めての外国人でもあります。
立ちはだかるのは、前回王者のアルゼンチン、
そしてフランス・スペイン・イングランドといった強豪です。
その激戦を勝ち抜くカギを握るとされるのが——
そう、ネイマールです。
しかし今、彼は「けが」と、ある問いの渦中にいます。
「それでも、彼は必要なのか」——と。
この記事では、ネイマールという選手の軌跡と今を、じっくり深掘りします。
数字だけ見れば、ブラジル史上最強クラス
ネイマールは、ブラジル代表通算79得点(128試合)を記録しています。
これは、あのペレの77得点を抜いた、ブラジル代表 歴代最多の数字です。
彼のキャリアは、まさにエリート街道でした。
17歳で古巣サントスからプロデビュー。
2011年には同クラブで南米王者(コパ・リベルタドーレス)に輝きます。
2013年にバルセロナへ移籍。
メッシ・スアレスと"MSN"を結成し、
2015年にはチャンピオンズリーグを含む三冠を達成しました。
2017年にはPSG(パリ・サンジェルマン)へ。
W杯本大会でも、通算8得点を挙げています。
国際舞台でのタイトルは、2013年コンフェデ杯(大会MVP)と、2016年リオ五輪(金メダル)。
「タレント(才能)なら文句なし」——ここには、ほとんど異論がありません。
💡 2017年のバルセロナ→PSG移籍金は約2億2200万ユーロ(約360億円)。実は2017年から今も破られていない、サッカー史上最高額の移籍記録です。
この五輪金メダルには、忘れられない物語があります。
2016年リオ五輪の決勝は、自国マラカナンでのPK戦。
その最後のキッカーを務めたのが、ネイマールでした。
これを沈め、ブラジルにサッカー史上初の五輪金メダルをもたらします。
2014年、自国開催のW杯で味わった屈辱を、自らの足で晴らした瞬間でした。
W杯の軌跡:栄光と、悔し涙の繰り返し

ところが、W杯という舞台に限ると、彼の歩みは栄光と無念が交互に訪れるものでした。
2014年・自国開催(ブラジル)
5試合で4得点。大会序盤のブラジルを牽引しました。
しかし準々決勝のコロンビア戦で背骨を骨折し、無念の離脱。
彼が不在のまま、チームは準決勝でドイツに 1-7 と歴史的大敗を喫します。
ブラジルは4位に終わりました。
2018年・ロシア
5試合で2得点2アシスト。
しかし準々決勝でベルギーに敗れ、ベスト8で姿を消します。
2022年・カタール
けがで2試合を欠場し、出場は3試合(2得点)。
準々決勝のクロアチア戦では、延長で値千金のゴールを決めます。
しかし試合はPK戦の末に敗退。またしても準々決勝の壁でした。
実はこのクロアチア戦のゴールは、ペレに並ぶ得点として歴史に刻まれたものでした。
皮肉にも、それが彼の"その大会最後の得点"となり、ブラジルはこの試合で姿を消したのです。
共通するのは「けが」と「準々決勝の壁」
ブラジルは、2002年の優勝以来、ベスト8より上に進めていません。
そしてネイマールは、歴代最多得点者でありながら、W杯優勝という勲章だけが手に入っていないのです。
PSG退団から続く、けがとの長い戦い
近年の彼の歩みは、まさに満身創痍でした。
時計の針を、2023年の夏に戻しましょう。
この夏、ネイマールは6年間を過ごしたPSGを退団します。
パリでは数々の国内タイトルを手にしました。
しかし、クラブ最大の悲願だったチャンピオンズリーグ制覇には、あと一歩届きませんでした。
度重なるけがや負傷離脱もあり、「世界最高額の男」への評価は、
次第に厳しいものへと変わっていきます。
そんな中で彼が選んだ新天地が、サウジアラビアのアル・ヒラルでした。
破格の契約条件は世界に衝撃を与え、
「全盛期のスターが欧州を離れる」是非が大きな議論を呼びます。
しかし、新天地での挑戦は、わずか数か月で暗転しました。
2023年10月、ウルグアイとの試合で前十字靱帯(ACL)を断裂。
サッカー選手にとって最も重いけがの一つで、彼は1年以上もピッチを離れることになります。
長いリハビリを経て復帰したものの、今度は筋肉系の負傷を繰り返しました。
結局、アル・ヒラルでの出場はわずか約7試合(1得点3アシスト)にとどまります。
そして両者は、合意のうえで契約を解除しました。
2025年1月、彼はプロデビューを飾った古巣サントスへと帰ります。
「夢の帰郷」として、ブラジル中が沸きました。
しかし——サントスでも負傷を繰り返し、25試合で7得点3アシスト。
かつての輝きを取り戻したとは、まだ言えない日々でした。
そして迎えた、2026年。
アンチェロッティ監督は5月、彼を代表メンバーに選出します。
これは、2023年10月にけがをして以来、約2年7か月ぶりの代表復帰でした。
ところが直前にふくらはぎを負傷(グレード2)。
初戦のモロッコ戦は欠場が濃厚とされ、6月8日時点では「回復は順調」と発表されています。
つまりネイマールは今、完全には癒えていない体で、
おそらく最後となるW杯に臨もうとしているのです。
ブラジル国内の評価:真っ二つに割れる賛否

実はネイマールは、母国ブラジルで評価がきれいに割れる選手でもあります。
擁護する声
まず、実績は本物です。
ブラジル代表の歴代最多得点者であり、2016年五輪では金メダルの立役者。
2013年コンフェデ杯では大会MVPに選ばれ、世界最高額で移籍した選手でもあります。
タレントの絶対量という一点で、彼を上回るブラジル人は、今もいません。
1994年の世界王者ロマーリオは、
「2026年にブラジルが勝つ唯一の道はネイマールだ」と明言しました。
批判の声に対して、レジェンド自らが盾になったのです。
現役のロドリゴ(レアル・マドリー)ら、若い世代からも彼を後押しする声が上がっています。
「大舞台でこそ、彼は違いを見せる」——その確信が、擁護派の根っこにあります。
批判する声
一方で、批判の声はより具体的です。
まず指摘されるのが、プロ意識への疑問です。
元ブラジル代表監督のエメルソン・レオンは「もう以前の彼ではない」「誰の手本にもならない」と、ピッチ内外の姿勢を厳しく批判しました。
次に、けがが完治していない点。
初戦の欠場が濃厚で、アンチェロッティ監督も「100%の状態でなければ」と、起用に条件を付けています。
さらに、彼の代わりに外れた実力者の存在です。
今回は、ロドリゴ(レアル・マドリー)、ガブリエル・ジェズス(アーセナル)、リシャルリソン(トッテナム)、そして長年代表を支えたベテラン、チアゴ・シウバらがメンバーを外れました。
今が旬の選手を差し置いて、万全でないネイマールを選ぶ価値はあるのか——というわけです。
そして、突き上げる若手の存在も見逃せません。
レアル・マドリー所属のエンドリッキ、イングランド・ボーンマスで台頭したハイアン、ロシア・ゼニトのルイス・エンリケ。
いずれも勢いに乗るブラジル人の若武者で、出場のチャンスを狙っています。
そして、世界的にささやかれているのが——"スター不要論"です。
ここに、皮肉な実例があります。
ネイマールが去り、さらにムバッペも去った2025年、
PSGはクラブ史上初のチャンピオンズリーグ制覇を達成しました。
絶対的なスターに頼らない「組織の力」で、ついに欧州の頂点に立ったのです。
一方、レアル・マドリーへ移ったムバッペは43得点を挙げながら、無冠に終わりました。
「現代サッカーは、個よりも組織なのではないか」。
その問いが、ネイマール待望論にも、静かに影を落としています。
まとめ
ここまでを整理すると——
- 数字はブラジル歴代最強クラス(通算79得点・ペレ超え)
- しかしW杯優勝もコパ・アメリカ優勝もない
- けが・賛否・スター不要論を抱えての2026年
- 外れた実力者や台頭する若手との競争もある
- いてもいなくても語られる男が、最後に何を残すのか
💡 歴代最多得点者でありながら、ネイマールはコパ・アメリカ優勝も経験していません。ブラジルが優勝した2019年大会は、けがで不在でした。
彼の国際タイトルは、いまだ2013コンフェデ杯と2016五輪の2つだけなのです。
それでも、ブラジルには彼が要る
ここからは、データではなく、一人のサッカーファンとしての「思い」です。
正直に言えば、ネイマールがいなくても、ブラジルは優勝候補です。
それくらい、タレントは世界屈指。
それでも——本当に世界の頂点を掴むには、やはり彼でなければならない理由がある、
と私は思います。
①大舞台で「決める」男だから 2016年五輪、マラカナンの決勝PK戦。国民全員の重圧がのしかかる最後の場面を、自ら沈めたのは彼でした。極限で結果を出せる選手は、そう多くありません。
②"違い"を一瞬で生めるから 彼のパスとドリブルは、引いて守る相手を一発でこじ開けます。
ブラジルが長年越えられなかった「準々決勝の壁」を破るのは、まさにこの個の違いです。
③若い才能を輝かせるから エンドリッキやヴィニシウスら次世代の才能は、
彼という"中心"がいてこそ、より自由に伸び伸びとプレーできます。
④物語を背負っているから 背骨骨折、ACL断裂、そして批判。どん底を知る男が頂点に立てば、その一瞬は、誰よりも世界の胸を打つはずです。
34歳。けが続き。おそらく、これが最後のW杯。
批判も、期待も、その背中に背負っている。
だからこそ——もしここで結果を出せば、"スーパースター"が"レジェンド"へと変わる。
その瞬間を、見届けたいのです。
ブラジルの試合は、ぜひネイマールの一挙手一投足に注目して観てみてください。
あの黄色(カナリア)を着て観れば、王国の一戦がもっと特別になります。今大会モデルを下に載せておきます。
試合ごとの見どころや速報も、これから発信していきます。
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